蚊と蟹

ウチとソトの境が無いような小屋で仕事をしている。
ゆえに、今夏も順調にやられている。
ちょっとそこの水道まで行って帰ってくるだけでやられる。
そう、我が工房夏の風物詩「蚊」である。

家での被害も含めれば(特殊な住まいで網戸がないのだ)、
アベレージで日に3箇所くらいやられている。
2ヶ月つづく。

「もはや献血一回分に相当するのではないか!」
などと、酷暑と度重なる吸血で変になっている。



在庫の緑のやつがなくなった。
蚊には申し訳ないが、人間の都合で今年はいつもより強そうなやつにした。

「日本初」「最強」「6m」

分かりやすく、そのキャッチコピーにひかれた。
アースの思うツボ。
小屋は長手方向でも4.5mほどなので申し分ない。
色は紺、香りは極上の伽羅(キャラ)。
ちょっとオシャレになれた気がしている。
緑のやつより効いている気もしている。



長女は、発語も簡単な文章を話せるようになるのも比較的早かった。
でも「蚊に刺された」時は「かににさされた!」と報告を受けた。
正しきを教えるも納得いかない表情で「かににさされた!」と繰り返していた。
わずか一語の生き物である「蚊ka」の理解に苦しんでいた。
「kani,kanini,kanini,,,,??」
助詞をめぐる攻防でちょっとした脳内パニックに陥っていたに違いない。

夏は蚊も発生するが、近くの用水路を散歩すれば沢蟹が見られる。
いつからか、雨上がりに蟹を探すのが散歩の定番として組み込まれた。
彼女は石の隙間に目を凝らして探す。
蟹を見つけるのが得意だ。

彼女もまた、よく蚊に刺される。
なんなら沢蟹見に行って、蚊に刺される。
今年も結構やられてしまった。

「かにさされた!こどもようのむひぬって!」と報告を受ける。


あれ、、言えてる!お薬の要求付きで。
どうやら蚊と蟹をご理解いただけたようで。

忌み嫌われる蚊よ。
我が子の成長を気付かせてくれる、
ポジティブな意味の虫のしらせをありがとうございます。



今日の一曲
「渚にまつわるエトセトラ/PUFFY」

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