木のうつわのこと

4/8(土)きそだにマーケットに出店します。
あら、明日だ。


木のうつわのこと、お椀のこと、少し書きます。

仕事として木のうつわを製作していますが、
生活の全てのうつわが木であることが良いとは思っていません。
木、土、ガラス、金属など素材によって得手不得手があるでしょう。
私も陶器や磁器のうつわがとても好きです。

一年くらい前でしょうか、TBSラジオたまむすび(先月で終了してしまった!悲しい!)
の中でカンニングの竹山さんが
「木の皿はとてもおしゃれで良いのだけど、レンジでチンするときに食べものを別の皿に移さなくてはならない。洗い物も増えるし結局使わなくなってしまった」
というようなお話をされていました。
ふむ、納得。そう思う。
使い手の目線は思わぬところから降ってくる。

木のうつわはその魅力とは裏腹に扱いの手間、わかりにくさという観点から
一部の方々の趣味嗜好の品となり得る可能性がある。
TADORU WORKSとしてはそのあたりをもう一歩可視化させて
今まで木のうつわや漆製品を手にとったことがない、なんだかよくわからないという方々にも
お届けしたいという想いで製作しています。


前置き長くなりました。お椀の宣伝です。
何でもかんでも木でつくれば良い訳ではないし
つくるなら使い手の方々に配慮が必要だという前提のもと、
こと汁椀に関しては木と漆の組み合わせがベストだと思います。

日本人はうつわを手に持って箸で食す、直接うつわに口をつけて飲む文化がある。
温かさを保ちながらも持つときに「あちちっ」となっては困る。
無理なく持てて、手に収まりが良い。
気を使わず、洗いやすい。
収納するとき重ねても転びにくい、かさばらない。
和食器特有の用と美。

理由は色々ありますが
なんだか美味しく感じるし、ほっこりする。
そういう感覚的なことも案外大事。


それから漆に対する考え方に関しまして。
塗料はオイル、ウレタンなど化学塗料も含めそれなりに試してきましたが
食器という観点では自然塗料の漆に勝るものはないというのが今の結論。
ですから多くの製品に漆を使用しています。

私には「漆器をつくっている」という感覚はあまりなく
日常使いに耐えうる仕様にするために
「木のうつわに漆でコーティングをしている」
というニュアンスの方がしっくりきます。
もともとろくろ挽きで木地製作を学ぶのが先であったので
木地を大切にしたい、木の表情も見てもらいたいという想いがあるからです。
ですから基本的には「拭き漆」という比較的簡易とされている方法で
漆を施しています。それでも実用に不足はないですし、
何より木という素材をより近くに感じられる。
何年か経過したら塗り直しにも対応します。

全体を通して仕事の丁寧さは心がけていますが

漆下地完璧、仕上がりピッカピカ、ハレの日万歳!をお求めの方は
TADORU WORKSの限りではございません。
目指しているベクトルが少々違うのです。

はじめての漆のうつわどんなものが良いかしら、とか
気兼ねなく毎日使いたいけど良い塩梅のモノないかしら、とか
そんな方々のご期待に沿えられるよう日々勉強、製作しています。


今日は生憎の天気ですが明日のイベントは晴れるといいなー

今日の一曲
「明日、春が来たら/松たか子」







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