となりの三尺


昨晩から冷えて、朝起きるともう雪景色。
今季初と言っていい、まともな雪かきをした。

「えーと、お隣さんとの境界はどこだっけ。んーよくわからんな。
だいたいが借りている家だし」

と、お困りのあなた。そんな時はこれです。

「隣の三尺」

訳すと、

「おとなりさんの敷地の90センチちょい」

そのぐらいまで雪かきやっておけば、ご近所関係良好にいくと思うよ!
という雪国では古くから使われている言葉。

むむ、これは夏場の草刈りゾーンにも使える。
何なら考えようによっては、ちょっとした差し入れ、おすそ分け、土産などにもいける。
つまり人間が仲良くなったり、距離を縮めるときに応用が効く。

しかしながら、三尺が抽象的になればなるほど難易度があがる。
人によって尺度が違うから。

「あーもうそれは完全に三尺超えてる。親切がお節介になっちゃってるから。返すの負担になってきちゃうから」

「初対面でめっちゃぐいぐい来よるなー。もう六尺は入ってきてるで」

と気づかぬ間に不快を与えてしまったり。

逆に、

「ずっと尺二寸止まりだな自分、もうちょい頑張ったほうがいいよ」

と距離感があるように受け取られてしまったり。

良い言葉だと思いますが、丁度良い三尺を制するのは大変なのです。


思えば、あの友人も、職場で活躍していたあの同僚も、
その都度、さり気ない気の利いた三尺を為していたと頭に浮かびます。




TADORU WORKS は本年もうつわをメインに製作していきます。
ろくろ挽きのうつわ屋さんは、日常的に寸や尺を単位として仕事をしています。
であれば「隣の三尺」も得意になれるはず。

というわけで今年の目標は、
「TADORU WORKS を通じて出会う方々の三尺を慮る」
といたします。

尺度の違う皆様の、ちょっと痒いところに手が届く、
そんなモノとサービスを。


遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願い致します。


※かつてのろくろ職人は三尺以上でもぐるぐる回して挽いていたようです



今日の一曲
「TOMORROW/岡本真夜」


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